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成年後見制度の理念

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成年後見制度の理念

認知症や知的障害、精神障害などの理由で判断能力が不十分な人にとっては、預貯金などの財産の適切な管理や、介護保険サービスの利用のために民間介護事業者と契約を結んだりすることなどが、自分自身では困難な場合がある。平成12(2000)年に導入された成年後見制度は、このような人に対して支援をするものである。

成年後見制度は、「高齢社会への対応及び知的障害者・精神障害者等の福祉の充実の観点から、自己決定の尊重、残存能力の活用、ノーマライゼーション等の新しい理念と従来の本人の保護の理念との調和を旨として、柔軟かつ弾力的な利用しやすい制度を構築する」ことを目的としている(法務省民事局「民法の一部を改正する法律案等要綱の概要」平成11年2月)。

 この改正の下で、これまでの準禁治産を「保佐」に、禁治産を「後見」に改称することに加え、「補助」と「任意後見」の制度が新設された。補助は、精神上の障害により判断能力が不十分な者のうち、軽度の状態にある者を対象に、本人の申し立て又は本人の同意によって、補助人を選任し、代理権、同意権、取消権を付与する制度である。「任意後見」は本人に契約の締結に必要な判断能力がある間に、将来自己の判断能力が不十分になったときのために任意後見人を決めておく制度である。

 この制度によって、その人の持っている残存能力の活用を図り、できるだけその人の自己決定の尊重をして、障害のある人も人間らしい、ふつうの生活が継続できるようにするノーマライゼーションの理念を追求している。平成24(2012)年12月末日時点における、成年後見制度(成年後見・保佐・補助・任意後見)の利用者数は、全国で合計16万6289人である。【参考:最高裁判所事務総局家庭局『成年後見関係事件の概況』】

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