障害者の権利宣言

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障害者の権利宣言

総会は、国際連合憲章のもとにおいて、国連と協力しつつ、生活水準の向上、完全雇用、経済・社会の進歩・発展の条件を促進するため、この機構と協力して共同及び個別の行動をとるとの加盟諸国の誓約に留意し、国際連合憲章において宣言された人権及び基本的自由並びに平和、人間の尊厳と価値及び社会正義に関する諸原則に対する信念を再確認し、
 世界人権宣言、国際人権規約、児童権利宣言及び精神薄弱者の権利宣言の諸原則並びに国際労働機関、国連教育科学文化機関、世界保健機関、国連児童基金及び他の関係諸機関の規約、条約、勧告及び決議において社会発展を目的として既に定められた基準を想起し、  障害防止及び障害者のリハビリテーションに関する1975年5月6日の経済社会理事会決議1921(第58回会期)をも、また想起し、社会の進歩及び発展に関する宣言が心身障害者の権利を保護し、またそれらの福祉及びリハビリテーションを確保する必要性を宣言したことを強調し、身体的・精神的障害を防止し、障害者が最大限に多様な活動分野においてその能力を発揮し得るよう援助し、また可能な限り彼らの通常の生活への統合を促進する必要性に留意し、若干の国においては、その現在の発展段階においては、この目的のために限られた努力しか払い得ないことを認識し、この障害者の権利に関する宣言を宣言し、かつこれらの権利の保護のための共通の基礎及び指針として使用されることを確保するための国内的及び国際的行動を要請する。

1「障害者」という言葉は、先天的か否かにかかわらず、身体的又は精神的能力の不全のために、通常の個人又は社会生活に必要なことを確保することが、自分自身では完全に又は部分的にできない人のことを意味する。

2 障害者は、この宣言において掲げられるすべての権利を享受する。これらの権利は、いかなる例外もなく、かつ、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上若しくはその他の意見、国若しくは社会的身分、貧富、出生又は障害者自身若しくはその家族の置かれている状況に基づく区別又は差別もなく、すべての障害者に認められる。

3 障害者は、その人間としての尊厳が尊重される生まれながらの権利を有している。障害者は、その障害の原因、特質及び程度にかかわらず、同年齢の市民と同等の基本的権利を有する。このことは、まず第一に、可能な限り通常のかつ十分満たされた相当の生活を送ることができる権利を意味する。

4 障害者は、他の人々と同等の市民権及び政治的権利を有する。精神薄弱者の権利宣言の第7条は、精神薄弱者のこのような諸権利のいかなる制限又は排除にも適用される。

5 障害者は、可能な限り自立させるよう構成された施策を受ける資格がある。

6 障害者は、補装具を含む医学的、心理学的及び機能的治療、並びに医学的・社会的リハビリテーション、教育、職業教育、訓練リハビリテーション、介助、カウンセリング、職業あっ旋及びその他障害者の能力と技能を最大限に開発でき、社会統合又は再統合する過程を促進するようなサービスを受ける権利を有する。

7 障害者は、経済的社会的保障を受け、相当の生活水準を保つ権利を有する。障害者は、その能力に従い、保障を受け、雇用され、または有益で生産的かつ報酬を受ける職業に従事し、労働組合に参加する権利を有する。

8 障害者は、経済社会計画のすべての段階において、その特別のニーズが考慮される資格を有する。

9 障害者は、その家族又は養親とともに生活し、すべての社会的活動、創造的活動又はレクリェーション活動に参加する権利を有する。障害者は、その居所に関する限り、その状態のため必要であるか又はその状態に由来して改善するため必要である場合以外、差別的な扱いをまぬがれる。もし、障害者が専門施設に入所することが絶対に必要であっても、そこでの環境及び生活条件は、同年齢の人の通常の生活に可能な限り似通ったものであるべきである。

10 障害者は、差別的、侮辱的又は下劣な性質をもつ、あらゆる搾取、あらゆる規則そしてあらゆる取り扱いから保護されるものとする。

11 障害者は、その人格及び財産の保護のために適格なる法的援助が必要な場合には、それらを受け得るようにされなければならない。もし、障害者に対して訴訟が起こされた場合には、その適用される法的手続きは、彼らの身体的精神的状態が十分に考慮されるべきである。

12 障害者団体は、障害者の権利に関するすべての事項について有効に協議を受けるものとする。

13 障害者、その家族及び地域社会は、この宣言に含まれる権利について、あらゆる適切な手段により十分に知らされるべきである。

1975年(昭和50年)12月9日に国連によって採択された「障害者の権利宣言(Declaration on the Rights of Disabled Persons)」は、身体障害者、知的障害者、精神障害者を含むすべての障害者の権利に関する決議であった。

障害者は「先天的か否かにかかわらず、身体的または精神的能力の不全のために、通常の個人生活または社会生活に必要なことを確保することが、自分自身では完全にまたは部分的にできない人」であると定義し、その3項において、「障害者は、その人間としての尊厳が尊重される、生まれながらの権利を有している。障害者は、その障害の原因、特質及び程度にかかわらず、同年齢の市民と同等の基本的権利を有する。このことは、まず第1に、可能な限り通常のかつ十分満たされた相当の生活を送ることができる権利を意味する。」と規定されている。

この権利宣言における具体的な権利の内容としては、①年齢相応の生活を送る権利、②他の人々と同等の市民権及び政治的権利、③可能な限り自立するための施策を受ける権利、④医療、教育、職業訓練、リハビリテーション等のサービスを受ける権利、⑤経済的社会保障を受ける権利、職業に従事する権利、⑥特別のニーズが考慮される権利、⑦家族とともに生活する権利、また、施設で生活する場合はそこでの環境や生活条件は、同年齢の人の通常の生活に近いものであるべきことなどがまとめられた。
 「障害者の権利宣言」には法的拘束力がないために、2006(平成18)年12月13日に「障害者の権利に関する条約」が国連において採択された。

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