近所にろう夫婦が転居してきました。この老夫婦が快適な地域生活を過ごすためには、どのような配慮が必要ですか。その2
ろう夫婦が転居先の地域で快適な生活を過ごすためには、その地域における心地良い人間関係を築くことが不可欠である。そのためにろう夫婦の近所に住む健聴者としての私に何ができるのだろうか。
具体的には、まずは地域の方にろう夫婦の存在を認識してもらうことが大切である。地域のお祭りなどのイベントに参加していただき、自分たちの地域に聞こえない夫婦が転居してきたことを知ってもらう。これは、地域の人が聞こえない人の生活に興味をもち、自分たちに何ができるのかを考えてもらう第一歩である。
ろう夫婦にとって情報を得られる大切な場として、地域手話サークルがある。手話サークルをろう夫婦に紹介することで、手話のできる健聴者また、同じ障害をもつろう者との出会いにつながる。手話サークルでの交流を通じて、その地域独特の手話表現や、近所のスーパーや病院など生活におけるさまざまな情報を得ることができる。このように交流を深めることで、ろう夫婦にとって地域の方との人間関係を築くことができ、信頼関係につながっていく。信頼できる友人ができるということは、何か困ったときには遠慮することなく助けを求めることができるであろう。
さらに手話ができない健聴者との人間関係を築くことも重要である。先に述べたように地域のイベントに参加し、存在を知ってもらった上で、どのような配慮が必要かをろう夫婦本人からや、私を含む手話のできる健聴者(主に手話サークル員)から説明するべきである。特に災害時におけるろう者の情報提供や避難誘導のことを知ってもらうべきだろう。
このように、地域全体が聞こえない人の生活環境を知り、心地良い人間関係を築くことで、ろう夫婦が快適に生活を過ごせるだろう。したがって、私にできる配慮はろう夫婦と地域の方との出会いのきっかけを作る橋渡しをすることである。