地域精神保健医療体制
平成21(2009)年9月に厚生労働省の「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」で取りまとめられた報告書『精神保健医療福祉の更なる改革に向けて』において、「地域生活支援体制の強化」や「普及啓発の重点的実施」等が今後の制度改革の方向性として示された。これを踏まえ、今後の地域精神保健医療施策の具体化のために、当事者・家族、医療関係者、地域の実践者、有識者から意見を伺い、新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討を行うために、平成22(2010)年5月に「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」が設置された。
本検討会は、これまで順に3つのテーマを検討してきた。第1ラウンドである平成22(2010)年5月から同年6月半ばは「アウトリーチ」、第2ラウンドである平成22(2010)年9月から平成23(2011)年11月は「認知症患者と精神科医療」、第3ラウンドである平成22(2010)年10月から平成24(2012)年6月は「保護者制度・入院制度」について検討を行ってきた。
なお、平成23(2011)年4月から実施された「精神障害者アウトリーチ推進事業」は、「未治療や治療中断している精神障害者等に、保健師、看護師、精神保健福祉士、作業療法士等の多職種から構成されるアウトリーチチームが、一定期間、アウトリーチ(訪問)支援を行うことにより、新たな入院及び再入院を防ぎ、地域生活が維持できるよう」にするものである。
アウトリーチ(名詞:Outreach、英語の動詞では、Reach Out)とは、英語で手を伸ばすことを意味する。福祉などの分野における地域社会への奉仕活動、公共機関の現場出張サービスなどの意味で多用される。
アウトリーチ(Reach Out)の必要とされる分野
医療分野などにおいて、病院の勤務医は患者が病院に来るのをただ待つという態度(殿様商法)であるが、地域に溶け込む必要性がある開業医は往診などをするのが、これにあたる。
社会福祉事業の従事者が、クライアントのところへ直接的に出向いて、心理的なケアとともに必要とされる支援に取り組むこと
美術館・博物館が裾野を広げる契機として施設訪問など対外的な広報活動をすること、マイノリティの人々が自らの存在を周知させるための活動
を指して用いられることが多い。近年では、地方自治において住民主体のまちづくりの取り組みが盛んになりつつある中で、まちづくりに対する地域住民の声を収集したり、関心を高めたりする活動をアウトリーチ(Reach Out)としている。