情報バリアフリーな地域社会の実現のために、手話を学ぶ人たちの役割について述べてください。その2
聴覚障害は情報とコミュニケーションの障害です。障害者基本法には障害を理由に差別してはならないとされていますが、実際には教育・雇用・社会参加など様々な場面でバリアがあります。このバリアをなくすための情報の補償が必要です。
情報保障の一つとして手話通訳がありますが、基本的人権に関わりが深い役所・病院・警察署、裁判所・集会や会議の場でも、その整備は不十分です。また聴覚障害者の社会進出に伴い大学や職場などにも手話通訳者がいれば、コミュニケーションがスムーズになり、情報の獲得が容易になって本来の力を最大限に発揮することが可能になると考えられます。でも現在はそのための法整備もまだ足りない状況です。
一方で手話に関心を持つ人は増えてきています。手話が少しでもわかる人が増えれば、手話通訳者ほどの専門性がないとしても例えば買い物・交通・町内会・保護者会などちょっとした場面で情報を得る機会が増えたり、聴覚障害者の孤立を防いで地域社会に積極的に参加しやすくなると思います。このように手話学習者は情報やコミュニケーションの橋渡しができる他に、もう一つ重要な役割があると思います。それは聴覚障害者に対する理解を一般の人々に広めることです。一般の人々は障害に関する教育を受ける機会はほとんどありません。聴覚障害とはどんな障害なのか、困ることは何か、どのような生活をしているのか、サポートの方法などを知り理解が深まれば、情報バリアフリーを促進することができると思います。
手話学習者は手話を技術として高めるのではなく、聴覚障害者の大切な言語であることを認識して、聴覚障害者との交流で学んだことや問題点などを周囲の人に伝えていくことも重要だと思います。私もさらに聴覚障害を持つ方々と交流を深め、少しでもその助けになっていきたいと考えています。