手話通訳者全国統一試験」カテゴリーアーカイブ

障害者福祉の基礎

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障害者福祉の基礎

1.昭和48(1973)年以降、道路交通法施行基礎第23条にある「補聴器を装着し10メートルの距離で90ホンの警音器の音が聞こえること」を条件に聴覚障害者も運転面寄与取得が可能になったという転換期がありました。

2.昭和56(1981)年を「国際障害者年」とし、そのテーマは「完全参加と平等」となりました。

3.身体障害者手帳は、身体障害者福祉法第15条第4項の規定に基づき知事が申請者に交付するが、政令指定都市及び中核都市については、身体障害者福祉法施行令及び同法施行規則等における大都市及び中核市の特例規定に基づき事務処理される。

4. 障害とは何かを考える時、1980年に世界保健機構(WHO)が公表した「国際障害分類(ICHDH)」は障害の問題を、広く社会の問題として考えるのに大きな影響を与えた。

1980(昭和55)年にWHO(世界保健機構)は「国際障害分類試案」(ICIDH)を発表し、障害についての分類・定義・細目に関する考え方を示した。障害を3つのレベル、すなわち、「病気・変調」により、身体的・精神的な喪失をする「機能障害(impairment)」が生じ、それにより生活上の能力が制約されている「能力障害(disability)」が生じ、最終的には、それにより社会的な役割を果たすことが制限され、社会的な不利益を被る「社会的不利(handicap)」つながることを明らかにしたように階層的にとらえることの意味は、それぞれの段階における問題の所在を専門技術の立場からまたは施策実施の立場から明らかにし、適切な対応をできるようにすることにあった。

例えば、聴覚障害の場合であれば、聴覚がない「機能障害」、それにより聞くことができないという「能力障害」、それにより、買い物の時に商品の説明をしてもらえないという「社会的不利」が生じるということである。こうして障害による問題が3層になっており、それぞれの問題に対応していく必要性が認識されるようになったのである。

しかし、このICIDHは障害のマイナス面を強調しすぎているという批判があった。

1980(昭和55)年にまとめられたICIDHからほぼ20年近く経過し、ICIDHが各国で利用されるにつれ問題点も指摘され、改定への要望も高まった。国際的な検討作業の結果、2001(平成13)年5月に、健康分類および健康関連分類として作成され、(障害を含む)健康がどのように影響を受けているかを明らかにした新たな国際障害分類(International Classification of Functioning,Disability and Health, 略称ICF)が示された。名称からもわかるように「障害分類」ではなく「生活機能分類」として、障害者にかかわらず、すべての人にかかわる分類となっている。そのために、表現も中立的になり、機能障害は「心身機能/身体構造」、能力障害は「活動」、社会的不利は「参加」と変更された。また、これらは「環境因子」と性別や年齢等の「個人因子」によって影響を受けるとされる。ここでいう環境因子とは、「物的環境や社会的環境、人々の社会的な態度による環境の特徴がもつ促進的あるいは阻害的な影響力」とされている。

以上のことからわかるように、障害が病気・外傷その他健康状態から直接的に障害が生じ、専門職の個別的治療を必要とする「医学モデル」と、障害が社会環境によって作り出されており、社会的活動によって取り組まれるとする「社会モデル」の両方の側面を統合する形でICFは構成されている。

ICFは障害を3つのレベルで捉える面では大きな違いはない。これまでのICIDHが病気や変調の帰結として機能障害、能力障害、社会的不利と、一方向の流れとして整理されていたが、ICFは健康状態、機能障害、活動、参加、背景因子(環境面と個人)の双方向の関係概念として整理された。これまでの否定的、マイナス的な表現から、中立的、肯定的な表現に変更され、「機能障害」は「心身機能・身体構造(body functions and structure)」に、「能力障害」は「活動(activity)」に、「社会的不利」は「参加(participation)」に置き換えられた。

また、それぞれの背景因子として地域や家のつくり等「環境因子」と性別や年齢等
個人因子」によって影響を受けるとされている。なお、分類項目としては、「心身機能」、「身体構造」、「活動と参加」、「環境因子」とに分類されている。

こうして、ICFでは、単に障害による制約のみを問題にするのではなく、常に環境との関わりのなかで障害を見て以降ということになったのである。例えば、視力が非常に低い人がテレビ会社に勤めるのと、ラジオ会社に勤めるのとでは、その障害による問題の現れ方の度合い、仕事の支障を考えると大きな違いが生じることは容易に想像されよう。

例えば、聴覚障害者の場合、物的環境では字幕があればテレビを見ることに問題がないこと、社会環境では手話通訳制度があればコミュニケーションに問題がないこと、態度では手話ができない人と話をするときにすぐに筆記で対応したり、手話を学ぼうとするようなことである。

このように、ICFでは、単に機能障害による制約のみを問題にするのではなく、常に環境とのかかわりのなかで障害をみる。

障害による活動や参加の制約というのは、常に環境とのかかわりのなかで生じるということである。

以上の説明でのICIDHのモデル図は以下のとおりであり、ICFのイメージはhttp://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/08/h0805-1.htmlのURLのとおりである。

5.身体障害者障害程度等級表(身体障害者福祉法(以下「身障者福祉法)施行規則別表第5号)においては、障害程度の等級を1級から7級に定めている。しかし7級の障害は1つのみでは手帳は交付されず身体障害者福祉法の対象とならない。
ただし、7級に該当する障害が2つ以上重複する場合、又は7級の障害が6級以上の障害と重複する場合は、上位の等級として手帳が交付され身体障害者福祉法の対象となる。
聴覚障害の等級は2級・3級・4級・6級である。ただし、聴力レベルで2級に該当し、音声言語機能の喪失で言語障害3級に相当する場合は、それら2級・3級の指数を合計し、聴覚・言語障害として、その障害等級を1級とする。

6.障害者基本法第2条は、「この法律において『障害者』とは、身体障害者、知的障害又は精神障害があるため、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者をいう」と、同法における障害者の定義をしている。
また、障害者基本法は、1993(平成5)年12月、1970(昭和45)年5月に法律第84号として制定された「心身障害者対策基本法」を改題し、内容的にも障害者計画の策定や障害者施策推進協議会設置など、国際障害者年とその後の諸取組を踏まえ、今日的な到達点に立って改正した。
社会福祉法は、2000(平成12)年、1951(昭和26)年に制定された「社会福祉事業法」を改題し、内容的にも主に社会福祉事業・社会福祉法人・サービス利用方式など社会福祉の基礎的構造の改革に関わる改正をした。
身体障害者福祉法は、1949(昭和24)年、身体障害者の更生援護や保護により、生活の安定に寄与するなど、福祉の増進を図ることを目的に制定された。同法が対象とする障害者とは、視覚、聴覚又は平衡機能、音声、言語・そしゃく機能、肢体・心臓・じん臓・呼吸器・ぼうこう・直腸・小腸・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能等に障害があるため、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けたものとした。

7. リハビリテーションの代表的な定義として、国連によるものがある。国連は1981(昭和56)年に国際障害者年を実施し、その翌年つまり1982(昭和57)年に「障害者に関する世界行動計画」を発表した。「障害者に関する世界行動計画」には次のような定義がある。

「リハビリテーションとは、身体的、精神的、かつまた社会的に最も適した機能水準の達成を可能とすることによって、各個人が自らの人生を変革していくための手段を提供していくことをめざし、かつ、時間を限定したプロセスである。」

8.「障害者の雇用の促進等に関する法律」においては、それぞれの人が、その適正と能力に応じた職業に就くことができるよう、障害者の雇用の促進と安定を図ることを目的に、障害者雇用促進協会が設立され、障害者雇用率制度の運営、障害者納付金制度の運営、職業リハビリテーションの施策を進めています。

9.「アジア太平洋障害者の十年」は、「国連障害者の十年」の最終年である1992(平成4)年4月、北京で開かれた国連アジア太平洋経済社会委員会ESCAPにおいて決議され、1993(平成5)年から2002(平成14)年まで10年間の取組がなされました。アジア太平洋地域においては、多数の開発途上国があり、約3億人の障害者がいると推定されています。これらの国々においては障害者対策に遅れがみられるために、「障害者の十年」を設定し、障害者対策の推進を図っていくこととしたものです。

・APECアジア太平洋経済協力会議→Asia-Pacific Economic Cooperation

・EACAP国連アジア太平洋経済社会委員会→Economic and Social Commission for Asia and the Pacific

・ASEAN東南アジア諸国連合Association of South‐East Asian Nations

・EAPC欧州大西洋パートナーシップEuro-Atlantic Partnership Council

10.(1)1976(昭和51)年の第31回国連総会において1981(昭和56)年を国際障害者年(IYDP)とすることが決議されたが、そのテーマは「完全参加と平等」であった。

(2)身体障害者補助犬とは、盲導犬、介助犬、聴導犬で、他人に迷惑を及ぼさない等適切な行動を取る能力があり、厚生労働大臣の指定法人の認定を受けたもののことである。

(3)障害者基本法第7条により、市町村においても、障害者計画を策定するよう努めなければならないとされた。

11. 障害とは何かを考える時、1980年に世界保健機構(WHO)が公表した「国際障害分類(ICHDH)」は障害の問題を、広く社会の問題として考えるのに大きな影響を与えた。

1980(昭和55)年にWHO(世界保健機構)は「国際障害分類試案」(ICIDH)を発表し、障害についての分類・定義・細目に関する考え方を示した。障害を3つのレベル、すなわち、「病気・変調」により、身体的・精神的な喪失をする「機能障害(impairment)」が生じ、それにより生活上の能力が制約されている「能力障害(disability)」が生じ、最終的には、それにより社会的な役割を果たすことが制限され、社会的な不利益を被る「社会的不利(handicap)」つながることを明らかにしたように階層的にとらえることの意味は、それぞれの段階における問題の所在を専門技術の立場からまたは施策実施の立場から明らかにし、適切な対応をできるようにすることにあった。

例えば、聴覚障害の場合であれば、聴覚がない「機能障害」、それにより聞くことができないという「能力障害」、それにより、買い物の時に商品の説明をしてもらえないという「社会的不利」が生じるということである。こうして障害による問題が3層になっており、それぞれの問題に対応していく必要性が認識されるようになったのである。

しかし、このICIDHは障害のマイナス面を強調しすぎているという批判があった。

1980(昭和55)年にまとめられたICIDHからほぼ20年近く経過し、ICIDHが各国で利用されるにつれ問題点も指摘され、改定への要望も高まった。国際的な検討作業の結果、2001(平成13)年5月に、健康分類および健康関連分類として作成され、(障害を含む)健康がどのように影響を受けているかを明らかにした新たな国際障害分類(International Classification of Functioning,Disability and Health, 略称ICF)が示された。名称からもわかるように「障害分類」ではなく「生活機能分類」として、障害者にかかわらず、すべての人にかかわる分類となっている。そのために、表現も中立的になり、機能障害は「心身機能/身体構造」、能力障害は「活動」、社会的不利は「参加」と変更された。また、これらは「環境因子」と性別や年齢等の「個人因子」によって影響を受けるとされる。ここでいう環境因子とは、「物的環境や社会的環境、人々の社会的な態度による環境の特徴がもつ促進的あるいは阻害的な影響力」とされている。

以上のことからわかるように、障害が病気・外傷その他健康状態から直接的に障害が生じ、専門職の個別的治療を必要とする「医学モデル」と、障害が社会環境によって作り出されており、社会的活動によって取り組まれるとする「社会モデル」の両方の側面を統合する形でICFは構成されている。

ICFは障害を3つのレベルで捉える面では大きな違いはない。これまでのICIDHが病気や変調の帰結として機能障害、能力障害、社会的不利と、一方向の流れとして整理されていたが、ICFは健康状態、機能障害、活動、参加、背景因子(環境面と個人)の双方向の関係概念として整理された。これまでの否定的、マイナス的な表現から、中立的、肯定的な表現に変更され、「機能障害」は「心身機能・身体構造(body functions and structure)」に、「能力障害」は「活動(activity)」に、「社会的不利」は「参加(participation)」に置き換えられた。

また、それぞれの背景因子として地域や家のつくり等「環境因子」と性別や年齢等
個人因子」によって影響を受けるとされている。なお、分類項目としては、「心身機能」、「身体構造」、「活動と参加」、「環境因子」とに分類されている。

こうして、ICFでは、単に障害による制約のみを問題にするのではなく、常に環境との関わりのなかで障害を見て以降ということになったのである。例えば、視力が非常に低い人がテレビ会社に勤めるのと、ラジオ会社に勤めるのとでは、その障害による問題の現れ方の度合い、仕事の支障を考えると大きな違いが生じることは容易に想像されよう。

例えば、聴覚障害者の場合、物的環境では字幕があればテレビを見ることに問題がないこと、社会環境では手話通訳制度があればコミュニケーションに問題がないこと、態度では手話ができない人と話をするときにすぐに筆記で対応したり、手話を学ぼうとするようなことである。

このように、ICFでは、単に機能障害による制約のみを問題にするのではなく、常に環境とのかかわりのなかで障害をみる。

障害による活動や参加の制約というのは、常に環境とのかかわりのなかで生じるということである。

以上の説明でのICIDHのモデル図は以下のとおりであり、ICFのイメージはhttp://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/08/h0805-1.htmlのURLのとおりである。

12.障害者基本法第3条は「(地域社会における共生等)
第三条  第一条に規定する社会の実現は、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提としつつ、次に掲げる事項を旨として図られなければならない。
一  全て障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されること。
二  全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと。
三  全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること。」となっている。

13. 支援費制度(しえんひせいど)とは、身体障害者(児)及び知的障害者(児)が、その必要に応じて市町村から各種の情報提供や適切なサービス選択の為の相談支援を受け、利用するサービスの種類ごとに支援費の支給を受け、事業者との契約に基づいてサービスを利用できる制度。2003年(平成15年)4月に施行され、2006年(平成18年)4月に障害者自立支援法へ移行した。

14. リハビリテーションの代表的な定義として、国連によるものがある。国連は1981(昭和56)年に国際障害者年を実施し、その翌年つまり1982(昭和57)年に「障害者に関する世界行動計画」を発表した。「障害者に関する世界行動計画」には次のような定義がある。

「リハビリテーションとは、身体的、精神的、かつまた社会的に最も適した機能水準の達成を可能とすることによって、各個人が自らの人生を変革していくための手段を提供していくことをめざし、かつ、時間を限定したプロセスである。」

15.身体障害者更生相談所の業務は主に4種類ある。
(1)専門的相談指導
(2)市町村から依頼を受けた医学的、心理学的、聴能的判定
(3)市町村・関係施設との連絡調整
(4)巡回相談http://www.pref.ishikawa.lg.jp/hc/ishikawa/hukusi21/documents/sintaisyougaisya.pdfのURLを参照のこと。

16.社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する法律はhttp://www1.mhlw.go.jp/topics/sfukushi/tp0307-1_16.htmlに概要が紹介されています。

(1) 法律の名称が「社会福祉事業法」から「社会福祉法」に改められ、また、第二種社会福祉事業として、手話通訳事業が追加された。
(2) 福祉サービスは個人の尊厳の保持を重要視し、サービス事業者は利用者の意向を十分に尊重しなければならないことになった。
(3) 福祉サービスの質の向上を図るための措置として第三者評価の導入を講じることになった。

17. 成年後見制度(せいねんこうけんせいど)とは、判断能力(事理弁識能力)の不十分な者を保護するため、一定の場合に本人の行為能力を制限するとともに本人のために法律行為をおこない、または本人による法律行為を助ける者を選任する制度である。裁判所の審判による「法定後見」と、本人が判断能力が十分なうちに候補者と契約をしておく「任意後見」とがある。くわしくはhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%90%E5%B9%B4%E5%BE%8C%E8%A6%8B%E5%88%B6%E5%BA%A6のURLを参照のこと。

18. 支援費制度(しえんひせいど)とは、身体障害者(児)及び知的障害者(児)が、その必要に応じて市町村から各種の情報提供や適切なサービス選択の為の相談支援を受け、利用するサービスの種類ごとに支援費の支給を受け、事業者との契約に基づいてサービスを利用できる制度。2003年(平成15年)4月に施行され、2006年(平成18年)4月に障害者自立支援法へ移行した。

19.身体障害者更生援護施設の地域利用施設とは、補装具製作施設、視聴覚障害者情報提供施設、知的障害者福祉ホームなどがあり、障害者の居住地に近い地域で、デイケアやレクリエーション、文化的活動などを行う施設の総称です。

20.わが国における障害者福祉は、第二次世界大戦後に本格的に取り組まれました。
当時は、貧困者、浮浪児、戦傷病者、身体障害者などが社会問題となっており、このような対象者を中心に社会福祉の基本的な法律が制定されました。
1945(昭和20)年に生活保護法、1947(昭和22)年に児童福祉法、1949(昭和24)年に身体障害者福祉法が制定され、この3法が福祉3法といわれています。

21. 日本では、障害者福祉サービスや税の障害者控除や公共交通機関の割引等その他の障害者向けのサービスを利用するには、障害の判定を受けて、公式に障害者であると示した障害者の手帳を取得することが条件とされている。日本の障害の区分は大きく、身体障害、知的障害、精神障害とあるが、これらに合わせて手帳が発行されている。

まず、「身体障害者手帳」は、身体障害者福祉法に規定されており、同法の別表には身体障害の程度を示す6つの「等級」があり、1、2級が重度、3、4級が中度、5、6級が軽度の障害とされている。より具体的に等級を示した「身体障害者福祉法施行令第36条」では、肢体不自由のみ7級が示されているが、7級だけでは手帳は発行されず、他の障害と重複して6級になった場合に手帳が発行される。なお、障害等級は医師の診断に基づいて、都道府県に設置されている身体障害者更生相談所が等級判定を行い、都道府県から紹介者手帳を発行する。

次に「療育手帳」は、知的障害者に対して発行される手帳であるが、知的障害者福祉法には手帳に関する規定はなく、厚労省の通知により各都道府県の独自施策として発行されている。そのため、手帳の名称は都道府県により違うところもあり、例えば東京都は
愛の手帳」、埼玉県は「みどりの手帳」となっている。なお、障害の判定は18歳未満は児童相談所、18歳以上は知的障害者更生相談所が行い、都道府県から手帳を発行する。

そして、「精神障害者保健福祉手帳」はも精神保健福祉法第45条に規定されており、都道府県から精神障害者に対して発行される手帳である。精神障害者の等級については、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行令」で1級から3級までの3つの等級で記されている。なお、精神障害者に対する社会的な差別意識が強いため、精神障害者の手帳の表紙には「障害者手帳」とだけ記されており、精神障害者とすぐにわからないように配慮されている。ここでいう都道府県には、地方分権でと胴部県の権限が委譲されているため、政令指定都市(大阪市や札幌市等の大都市)が含まれることには注意すること。

「障害者基本法」第2条において、「障害者とは、身体障害、知的障害又は精神障害があるため、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受けるもの者」と規定されている。このように、日本において「障害者」は身体障害者、知的障害者、精神障害者である。

「身体障害者」については、身体障害者福祉法第4条において定義されている。「この法律において、『身体障害者』とは、別表に掲げる身体上の障害がある18歳以上の者であって、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けたものをいう」と規定されている。

身体障害は障害の程度に応じ、重度から軽度へ1級から7級まで細かに規定されており、その詳細は身体障害者福祉法施行規則別表第5号「身体障害者障害程度等級表」に掲載されている。7級については、そこに該当する障害1つだけでは身体障害者に認定されない。

身体障害の定義・範囲については、年金制度や労災制度においても所得保障や労災補償の観点からそれぞれ定められているが、身体障害者福祉法による定義・範囲は、障害者の雇用の促進に関する法律や税の減免制度等において広く準用されている。

「身体障害者手帳」は「身体障害者福祉法」の第15条に規定されており、根拠条文は「障害者基本法」ではないことに注意すること。身体障害は障害の程度に応じ、重度から軽度へ1級から7級まで細かに規定されており、その詳細は身体障害者福祉法施行規則別表第5号「身体障害者障害程度等級表」に掲載されている。

身体障害者手帳の申請は、指定医師による診断書、意見書を添えて市町村(福祉事務所長)を経由して都道府県知事に申請する。手帳には、障害名・障害の程度等級等が記載され、各種福祉サービスの利用、その他の優遇措置(税金の免除、運賃割引制度)等に使用する際の証票となっている。

18歳以下の身体障害児についても、身体障害者福祉法によって「身体障害者手帳」が交付されている。しかし「身体障害児手帳」とは言わない。身体障害者手帳を交付された身体障害児に対する療育指導や補装具の交付などの福祉の措置は、児童福祉法によって行われている。

「知的障害者」については、厚生事務次官通知「療育手帳制度について」があり、療育手帳は知的障害のある人に対して一貫した指導・相談を行うとともに、各種の援助を受けやすくすることを目的に交付されている。療育手帳の交付を受けられる者は、児童相談所または知的障害者更生相談所において知的障害者と判定された者である。障害の程度は、判定区分に応じて、重度の場合は「A」、その他の場合は「B」と療育手帳に表示される。

交付申請は、「療育手帳交付申請書」に写真を添付し、市町村(福祉事務所長)を経由して都道府県知事に提出する。療育手帳を交付された者は、各種福祉サービスを利用できるほか、その他の優遇措置(税金の控除・免除、公営住宅への優先入居、運賃の割引など)を活用する際に証票として提示する。

ただし、東京都においては「愛の手帳」と言い、障害の程度は4つに区分されている。このように知的障害者の療育手帳は、都道府県によって運用が異なることがある。

「精神障害者」については「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(略称、精神保健福祉法)」(平成7年改正)の第5条において、「精神障害者とは、統合失調症(精神分裂症)、精神作用物質による急性中毒またはその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者をいう」と規定されている。

精神障害者保健福祉手帳の創設は1995(平成7)年に制定された「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」(精神保健福祉法)において規定されたものである。精神障害者(統合失調症、躁鬱病、非定型精神病、てんかん、中毒性精神病、器質精神病等)のうち、日常生活または社会生活をする際に制約のある者に対して、精神障害者保健福祉手帳が交付される。手帳の表紙は「障害者手帳」と記載されている。

交付申請は、「障害者手帳申請書」に医師の診断書または障害年金の写しを添付し、保険所長を経由して都道府県知事に提出する。障害者手帳を交付された者は、通院医療費交付負担申請手続きの簡略化、精神障害者社会復帰施設等の利用、その他の優遇措置(税金の控除・免除、生活保護の障害者加算など)のために活用できる。

精神障害者保健福祉手帳の等級は1級から3級の区分を設けている。身体障害者手帳や療育手帳(知的障害児・者)とは違い、精神障害者保健福祉手帳の有効期限は2年間とされている。

22.1975(昭和50)年12月9日に国連によって決議された「障害者の権利宣言」において、障害者は「先天的か否かにかかわらず、身体的又は精神的能力の不全のために、通常の個人又は社会生活に必要なことを確保することが、自分自身では完全に又は部分的にできない人」であると定義された。

23.2001(平成13)年6月に「障害者に係る欠格事由の適正化を図るための医師法等の一部を改正する法律」が成立し、医療職を中心とする免許・資格の31制度が見直された。これまで絶対的欠格とされていたものが相対的欠格に改められ、医師、歯科医師、診療放射線技師、理学療法士、作業療法士、薬剤師等20数種の資格が「心身の障害によりその業務を適正に行うことができない」場合に欠格事由に該当するとされました。

24.1993(平成5)年、障害者の自立と社会参加の促進を図るため、「心身障害者対策基本法」が「障害者基本法」に改正された。

25.成年後見制度は、認知症,知的障害,精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は,不動産や預貯金などの財産を管理したり,身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり,遺産分割の協議をしたりする必要があっても,自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。また,自分に不利益な契約であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい,悪徳商法の被害にあうおそれもあります。このような判断能力の不十分な方々を保護し,支援するのが成年後見制度です。従来の民法では禁治産、準禁治産制度がありました。新たな成年後見制度は「法定後見制度」と「任意後見制度」から成り立ちます。「法定後見制度」は「後見」「補佐」「補助」というように保護を要する人の判断能力のレベルによって分けられます。
一方、「任意後見制度」は本人が契約締結に必要な判断能力があるうちに、後見事務の内容を依頼しておく制度のことです。詳しくは法務省のhttp://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.html#a1のURLをご覧ください。

26.・障害者基本法において「すべて障害者は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有するものとする」と規定されている。

・リハビリテーションは、身体的、精神的、かつまた社会的に最も適した機能水準を可能とすることによって、各個人が自らの人生を変革していくための手段を提供していくことをめざし、かつ、時間を限定したプロセスである。

・ノーマライゼーションは、施設で隔離的な生活をしていた知的障害のある子供たちを地域で生活できることを求めた、1950年代のデンマークの知的障害児の親の会の運動がはじまりである。

・完全参加と平等は、障害者が社会生活及び社会の発展に参加できること、多くの人々との平等な生活が営めること、経済的及び社会的発展によって改善される生活状況を平等に享受できること等を目的にしている。

27. 「ノーマライゼーション」とは、障害者や高齢者など社会的に弱い立場にある人々が社会の中にいるのが通常の社会であり、一般社会の中で普通の生活が送れるような条件を整えるべきであり、ともに生きる社会こそノーマルな社会であるという考え方である。

1999(平成11)年版「障害者白書―ノーマライゼーションの世界的展開―」において、「現在の障害者施策の基本理念の一つであるノーマライゼーションの思想は1950年ごろにデンマークで生まれたものであるが、誕生から半世紀を過ぎた今日、この理念は国際社会を構成する世界各国において広く認められ、実現の水準に格差はあるものの、すべての国が障害者施策の目標をここに置いていると言っても過言ではない」と書かれている。

以上のように、ノーマライゼーションの理念は、1950年代前半にデンマークにおける「知的障害者の親の会」から、その当時、知的障害があると一生施設で生活するのが当然のように行われてきた福祉について疑問が出され、知的障害を持っていても家族と一緒に生活することができるように国に訴えたことから、デンマークの障害者行政担当官であったバンク・ミセルケンが、1959年(昭和34)年に制定された「知的障害者等福祉法」において、「知的障害者の生活を可能な限り通常の生活に近づけるようにする」と定義づけたことに発している。のちにバンクーミセルケンは「ノーマライゼーションの父」と言われるようになった。

その後、1967(昭和42)年にスウェーデンにおいて制定された「知的障害者援護法」にもノーマライゼーションの理念が規定された。その制定にかかわったベンクト・ニィリエ(「ニルジェ」と訳されることもある)は1969(昭和44)年に「ノーマライゼーションの原理」をまとめた。その中でニィリエはノーマライゼーションを「すべての知的障害者の日常生活や条件を、社会の通常の環境や生活の仕方にできるだけ近づけるようにすること」と定義し、ノーマライゼーションを考える時の具体的な視点として、ベンクト・ニィリエは以下の8項目を挙げた。

① 1日のノーマルなリズム
② 1週間のノーマルなリズム
③ 1年間のノーマルなリズム
④ ライフサイクルでのノーマルな経験
⑤ ノーマルな要求の尊重
⑥ 異性との生活
⑦ ノーマルな経済的状態
⑧ ノーマルな生活環境

のちにニィリエは「ノーマライゼーションの育ての父」と呼ばれた。

このように、デンマークやスウェーデンのノーマライゼーションの考え方は、障害者の生活環境や社会福祉制度の改善を重視してきたのに対して、アメリカ・カナダでの普及に尽力したヴォルフェンスベルガーは、ノーマルな生活というのは国や地域によって異なることを重視し、環境整備と共に、障害者自身が「社会的な役割」を獲得し、それによって障害者の社会的なイメージを高めるよう訴えた。

この理念の影響を受け、アメリカやカナダにおいては、ヴォルフェンスベルガーかノーマライゼーションの普及に努めた影響で知的障害者や精神障害者の大型施設を解体し、社会からの隔離や分離をなくそうとしてきた。

ヴォルフェンスベルガーはドイツに生まれたが、アメリカに移住し、心理学と特殊教育の博士号を取得した研究者である。北欧で生まれたノーマライゼーションの思想を英語圏及び国際的に普及せる上で大きく貢献した。理念として抽象的に語られていたノーマライゼーションの思想を実際のサービス評価に具体化し、「価値ある社会的な役割の獲得(ソーシャルロール・ヴァロリゼーション)」を提唱した。

日本においては、「ノーマライゼーション」は、障害者に関する長期計画、障害者に関する新長期計画、障害者基本計画、障害者プランなど、高齢者や障害者を含むすべての人々の社会福祉の理念として位置付けられている。公共施設のバリアフリー、障害者施設の脱施設化と在宅福祉サービス、障害児教育における統合教育等が進められていくようになった。

1990年8月に日本の日欧文化交流学院でバンクーミセルケンが行った最終講義において、以下のような内容を話している(花村春樹『ノーマライゼーションの父』、ミネルヴァ書房、1996年、193頁)。
「障害の状況によっては、施設に入居する形をとらなければならない場合もあります。しかしその場合でも、かってのように1,000人も一緒に生活するような施設のあり方は、とんでもない誤りです。そのような施設に代わる新しいものが必要です。それはグループホームあるいは少人数の居住施設です。施設の小規模化、脱施設化という言い方もできるでしょう。」

メイスは、ユニバーサル・デザインの提唱者である。それまで障害者に利用できるように「バリアフリー」が提唱されてきたのに対して、ユニバーサル・デザインは障害者だけでなく、高齢者や妊産婦等、そして健常者も含めた、すべての人に使いやすいデザインの製品や建築物、生活環境を作っていくことを設計の方針としたものである。

このようなノーマライゼーションやユニバーサル・デザインの理念が日本でも普及していくなかで、公共施設のバリアフリー化や障害者施設の脱施設化と地域生活、障害児教育における統合教育等がすすめられていくようになった。

28.障害者自立支援法のポイントとしては
(1)障害のある者がもっと就労できることを目指し、新たな就労支援事業を創設し、企業への就職も促進することとなった。
(2)サービス利用者の費用負担がこれまでの応能負担から、原則1割の応益負担に変更された。
(3)新たな障害程度区分をつくり、サービスの支給決定のプロセスが全国統一化された。
というものがあります。

29.障害者自立支援法の障害程度区分を認定するための調査項目は106項目で構成されている。障害程度区分調査は介護保険と同様に全国共通で行われることになった。介護保険は要支援1、2および要介護1~5に認定されているが、障害程度区分は1~6に分類される。
一次判定結果、特記事項、医師意見書に基づいて、二次判定が市町村審査会において行われる。

30.2000(平成12)年に成立した「社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する法律」では、
(1)知的障害者福祉の在宅サービスとあわせ、施設サービスに関する事務について、市町村が一元的に行うことになった。
(2)障害児の在宅サービスに関する事務は平成15年4月から市町村に一元化されることになった。

31.障害者福祉に関する国際的動向としては、
(1)1975年12月9日に国連によって決議された「障害者の権利宣言」はすべての障害者の権利に関する決議である。
(2)国連は、障害者の「完全参加と平等」の実現を目的として、1981年を国際障害者年と定めた。
(3)障害のある人々に対する差別を禁止する「障害者の権利条約」は、2006年12月13日に国連総会で採択された。
(4)障害者に関わる重要な課題について、機会均等化の観点から達成状況をチェックするため、1993年の国連総会において「障害者の機会均等化に関する標準規則」が採択された。

32.WHOによる障害分類で、2001(平成13)年5月に新たな国際生活機能分類(ICF)が採択された。ICFは健康状態、機能障害、活動、参加、背景因子の双方向の関係概念として整理された。これまでの否定的、マイナス的な表現から、中立的、肯定的な表現に変更され、「機能障害」は「心身機能・構造」に、「能力障害」は「活動」に、「社会的不利」は「参加」に置き換えられた。

33.障害者自立支援法の自立支援給付での、自立支援医療は、育成医療、更生医療、精神通院医療の3種類がある。
くわしくは厚生労働省のhttp://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/jiritsu/index.htmlのURLをご覧ください。

34.2006(平成18)年に制定された障害者自立支援法による「障害福祉計画」には、整備すべき具体的なサービス量が明記された。

35.2013(平成25)年に注意してほしいことは、法定雇用率が変更となりました。http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/shougaisha/dl/120620_1.pdfのURLにご紹介されているように、
2013(平成25)年4月1日以降は
民間企業→2.0%
国、地方公共団体→2.3%
都道府県等の教育委員会→2.2%
となります。

36.福祉関係専門祝の制度化について、1987(昭和62)年には、社会福祉士及び介護福祉法が施行され、1989(平成元)年から国家試験が開始された。また、同年に厚生労働大臣が認定した法人によって手話通訳士試験が開始された。1997(平成9)年12月には「精神保健福祉法」及び「言語聴覚士法」が制定された。

37.福祉事務所の役割・機能について、福祉事務所は社会福祉法第14条に規定され、都道府県、指定都市、特別区、その他の市において設置しなければならない。それに対して町村は設置できるとされています。福祉事務所は社会福祉行政の第一線機関であり、社会福祉主事、身体障害者福祉司、知的障害者福祉司、事務職員、嘱託医などが配置されています。

38.わが国の法律における障害の定義については、1993(平成5)年に心身障害者対策基本法が改正され、改正後の障害者基本法第2条において、「障害者とは、身体障害、知的障害又は精神障害があるため、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者」と規定された。

39.2000(平成12)年の社会福祉事業法が社会福祉法に改正されたことに伴い、身体障害者福祉法の法定事業として「手話通訳事業」が追加されました。同法において、「手話通訳事業とは、聴覚、言語機能又は、音声機能の障害のため、音声言語により意思疎通を図ることに支障がある身体障害者につき、手話通訳等に関する便宜を供与する事業をいう」と規定されています。

40. 障害者自立支援法によって実施される事業は大きく分けると、①自立支援給付と、②地域生活支援事業の2つである。

(1)自立支援給付には、①介護給付、②訓練等給付、③自立支援医療、④補装具がある。

(2)地域生活支援事業には、①相談支援、コミュニケーション支援、③日常生活用具の給付、④移動支援、⑤地域活動支援センター機能強化、⑥福祉ホーム、などの事業が例示されている。それぞれの市町村がニーズに応じて実施するとされている。「相談支援」は市町村が必ず実施しなければならない必須事業とされ、2006(平成18)年10月から、障害種別にかかわらず、相談支援事業は市町村に一元化された。市町村は地域自立支援協議会を設置することになっており、これらを含めた地域生活支援事業は義務的経費ではなく裁量的経費とされ、交付税によって財源を確保することとされた。

相談支援事業の主体は市町村であるが、指定相談支援業者や他の地方公共団体に委託することもできる。事業の内容は、①福祉サービスの利用援助、②社会資源を活用する支援、③社会生活力を高めるための支援、④ピアカウンセリング、⑤権利擁護のために必要な援助、⑥専門機関の紹介、⑦地域自立支援協議会の運営等である。

41.障害者の権利条約は、2006(平成18)年12月13日に開催された国連総会において採択されました。世界人口の約1割、6億5千万人とされる障害のある人々に対する差別を禁止する画期的な国際条約です。

42. 日本では、障害者福祉サービスや税の障害者控除や公共交通機関の割引等その他の障害者向けのサービスを利用するには、障害の判定を受けて、公式に障害者であると示した障害者の手帳を取得することが条件とされている。日本の障害の区分は大きく、身体障害、知的障害、精神障害とあるが、これらに合わせて手帳が発行されている。

まず、「身体障害者手帳」は、身体障害者福祉法に規定されており、同法の別表には身体障害の程度を示す6つの「等級」があり、1、2級が重度、3、4級が中度、5、6級が軽度の障害とされている。より具体的に等級を示した「身体障害者福祉法施行令第36条」では、肢体不自由のみ7級が示されているが、7級だけでは手帳は発行されず、他の障害と重複して6級になった場合に手帳が発行される。なお、障害等級は医師の診断に基づいて、都道府県に設置されている身体障害者更生相談所が等級判定を行い、都道府県から紹介者手帳を発行する。

次に「療育手帳」は、知的障害者に対して発行される手帳であるが、知的障害者福祉法には手帳に関する規定はなく、厚労省の通知により各都道府県の独自施策として発行されている。そのため、手帳の名称は都道府県により違うところもあり、例えば東京都は
愛の手帳」、埼玉県は「みどりの手帳」となっている。なお、障害の判定は18歳未満は児童相談所、18歳以上は知的障害者更生相談所が行い、都道府県から手帳を発行する。

そして、「精神障害者保健福祉手帳」はも精神保健福祉法第45条に規定されており、都道府県から精神障害者に対して発行される手帳である。精神障害者の等級については、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行令」で1級から3級までの3つの等級で記されている。なお、精神障害者に対する社会的な差別意識が強いため、精神障害者の手帳の表紙には「障害者手帳」とだけ記されており、精神障害者とすぐにわからないように配慮されている。ここでいう都道府県には、地方分権でと胴部県の権限が委譲されているため、政令指定都市(大阪市や札幌市等の大都市)が含まれることには注意すること。

「障害者基本法」第2条において、「障害者とは、身体障害、知的障害又は精神障害があるため、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受けるもの者」と規定されている。このように、日本において「障害者」は身体障害者、知的障害者、精神障害者である。

「身体障害者」については、身体障害者福祉法第4条において定義されている。「この法律において、『身体障害者』とは、別表に掲げる身体上の障害がある18歳以上の者であって、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けたものをいう」と規定されている。

身体障害は障害の程度に応じ、重度から軽度へ1級から7級まで細かに規定されており、その詳細は身体障害者福祉法施行規則別表第5号「身体障害者障害程度等級表」に掲載されている。7級については、そこに該当する障害1つだけでは身体障害者に認定されない。

身体障害の定義・範囲については、年金制度や労災制度においても所得保障や労災補償の観点からそれぞれ定められているが、身体障害者福祉法による定義・範囲は、障害者の雇用の促進に関する法律や税の減免制度等において広く準用されている。

「身体障害者手帳」は「身体障害者福祉法」の第15条に規定されており、根拠条文は「障害者基本法」ではないことに注意すること。身体障害は障害の程度に応じ、重度から軽度へ1級から7級まで細かに規定されており、その詳細は身体障害者福祉法施行規則別表第5号「身体障害者障害程度等級表」に掲載されている。

身体障害者手帳の申請は、指定医師による診断書、意見書を添えて市町村(福祉事務所長)を経由して都道府県知事に申請する。手帳には、障害名・障害の程度等級等が記載され、各種福祉サービスの利用、その他の優遇措置(税金の免除、運賃割引制度)等に使用する際の証票となっている。

18歳以下の身体障害児についても、身体障害者福祉法によって「身体障害者手帳」が交付されている。しかし「身体障害児手帳」とは言わない。身体障害者手帳を交付された身体障害児に対する療育指導や補装具の交付などの福祉の措置は、児童福祉法によって行われている。

「知的障害者」については、厚生事務次官通知「療育手帳制度について」があり、療育手帳は知的障害のある人に対して一貫した指導・相談を行うとともに、各種の援助を受けやすくすることを目的に交付されている。療育手帳の交付を受けられる者は、児童相談所または知的障害者更生相談所において知的障害者と判定された者である。障害の程度は、判定区分に応じて、重度の場合は「A」、その他の場合は「B」と療育手帳に表示される。

交付申請は、「療育手帳交付申請書」に写真を添付し、市町村(福祉事務所長)を経由して都道府県知事に提出する。療育手帳を交付された者は、各種福祉サービスを利用できるほか、その他の優遇措置(税金の控除・免除、公営住宅への優先入居、運賃の割引など)を活用する際に証票として提示する。

ただし、東京都においては「愛の手帳」と言い、障害の程度は4つに区分されている。このように知的障害者の療育手帳は、都道府県によって運用が異なることがある。

「精神障害者」については「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(略称、精神保健福祉法)」(平成7年改正)の第5条において、「精神障害者とは、統合失調症(精神分裂症)、精神作用物質による急性中毒またはその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者をいう」と規定されている。

精神障害者保健福祉手帳の創設は1995(平成7)年に制定された「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」(精神保健福祉法)において規定されたものである。精神障害者(統合失調症、躁鬱病、非定型精神病、てんかん、中毒性精神病、器質精神病等)のうち、日常生活または社会生活をする際に制約のある者に対して、精神障害者保健福祉手帳が交付される。手帳の表紙は「障害者手帳」と記載されている。

交付申請は、「障害者手帳申請書」に医師の診断書または障害年金の写しを添付し、保険所長を経由して都道府県知事に提出する。障害者手帳を交付された者は、通院医療費交付負担申請手続きの簡略化、精神障害者社会復帰施設等の利用、その他の優遇措置(税金の控除・免除、生活保護の障害者加算など)のために活用できる。

精神障害者保健福祉手帳の等級は1級から3級の区分を設けている。身体障害者手帳や療育手帳(知的障害児・者)とは違い、精神障害者保健福祉手帳の有効期限は2年間とされている。

43.・知的障害のある者で、児童相談所又は知的障害者更生相談所において知的障害者と判断された者に対して、療育手帳が交付される。

・精神障害者のうち、日常生活又は社会生活をする際に制限のある者に対して、精神障害者保健福祉手帳が交付される。

・身体障害者福祉法別表に定める身体上の障害がある者に対して、身体障害者手帳が交付される。

44.障害者自立支援法では、介護給付、訓練等給付、自立支援給付、補装具の4つの事業を含む自立支援給付に関わる経費は義務的経費となり、必要な財源は国が必ず用意すると位置付けせれました。国は、1/2を負担し、都道府県と市町村はそれぞれ1/4ずつ負担することとされています。

45. 補装具

身体障害者福祉法によって実施されていた「補装具給付制度」や「日常生活用具給付等事業」が2006(平成18)年に障害者自立支援法が施行されることによって大きく再編された。

「補装具」は、「身体障害者福祉法」第20条に規定されており、身体の部分的欠損または身体の機能の損傷を直接的に補うことにより、日常生活能力の回復に寄与する用具のことをいう。身体障害者(児)には、このような用具を用いることにより、身体的機能を補うほか、変形を予防・矯正したり、日常生活に利便を得ることができるものが多いので、身体障害者福祉法においては、補装具の交付又は修理に要する費用を公費負担していた(障害者自立支援法により、補装具費の利用者負担は1割となる)。障害者自立支援法によりこれまでの品目が整理され、少なくなり、補装具から削除された品目は、日常生活用具に移ったものもある。

厚生労働省のhttp://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/yogu/のホームページをご覧いただきたい。

※補装具の種目
[身体障害者・身体障害児共通]
義肢 装具 座位保持装置 盲人安全つえ 義眼 眼鏡 補聴器 車椅子
電動車椅子 歩行器 歩行補助つえ(T字状・棒状のものを除く)
重度障害者用意思伝達装置

[身体障害児のみ]
座位保持椅子 起立保持具 頭部保持具 排便補助具

というように補装具が規定されていることがわかる。

身体障害者福祉法によって実施されていた「補装具給付制度」や「日常生活用具給付等事業」が2006(平成18)年に障害者自立支援法が施行されることによって大きく再編された。

補装具費支給制度は、「身体の欠損または損なわれた身体機能を補完・代替する用具について購入又は修理に要した費用(基準額)の100分の90に相当する額(補装具費)を支給」するものである。身体障害者福祉法では基本的には現物給付であったが、この説明のように、かかった費用の9割を支給するものに代わったことに注意されたい。この補装具には、補聴器や義肢、車いす、盲人用安全つえ等が含まれる。

日常生活用具給付等事業は、「重度障害者等の日常生活がより円滑に行われるための用具を給付又は貸与」等を行う事業である。この日常生活用具には、特殊寝台、聴覚障害者用屋内信号装置、点字器、住宅改修等が含まれる。

さて、障害者自立支援法の提供するしょうが者福祉サービスは、大きく「自立支援給付」と「地域生活支援事業」の2つがある。

自立支援給付は、障害の程度に応じて給付されるものであり、補装具給付制度の他、介護給付や訓練等給付、自立支援医療が含まれる。つまり、補装具給付制度は自立支援給付の中にあるが、介護給付や訓練給付とは別である。自立支援給付では原則1割の利用者負担が求められるが、義務的経費となっており、サービスの利用があれば必ず国からの支出がなされる。

地域生活支援事業は、「地域の特性や利用者の状況に応じた柔軟な事業形態による事業を効率的・効果的に実施」するものである。地域生活支援事業は、市町村事業と都道府県事業がある。

この市町村地域生活支援事業には、相談支援事業、コミュニケーション支援事業、日常生活用具給付等事業、移動支援事業、地域活動支援センター機能強化事業、その他の事業がある。ただし、国の財政責任としては、裁量的経費となっており、予算の範囲内で実施される。利用者負担はこの事業を実施する都道府県や市町村で設定する。

46.障害者自立支援法で
(1)地域生活支援事業の実施主体は、都道府県および市町村である。

(2)コミュニケーション支援事業は、市町村の必須事業である。

(3)市町村は「相談支援事業」を指定相談支援事業者に委託できる。

47.福祉に関する法律の記述について
(1)児童福祉法は、満18歳に満たない児童に対する福祉施策のため、児童福祉司、児童委員、児童相談所、福祉事務所、保健所の規定、福祉の措置及び保障、事業及び施設、費用等について定めている。

(2)身体障害者福祉法は、身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、身体障害者を援助し、及び必要に応じて保護し、身体障害者の福祉の増進を図ることを目的に制定された。

(3)1960(昭和35)年に制定された「精神薄弱者福祉法」は、1998(平成10)年に「知的障害者福祉法」に法律名が改正された。知的障害者に対し、その更生を援助するとともに必要な保護を行い、知的障害者の福祉向上を図ることを目的としている。

(4)1960(昭和35)年に制定された「身体障害者雇用促進法」は、1987(昭和62)年に「障害者の雇用の促進等に関する法律」に法律名が改正された。障害者の雇用の促進、職業リハビリテーション、その他、障害者が職業能力に適合する職業に就くこと等により、障害者の職業生活における自立の促進を目的としている。

48.2004(平成16)年に制定された「発達障害者支援法」において発達障害とは「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害<AD/HD>そのたこれに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発言するもの」とされています。

49.国連は1982(昭和57)年に制定された障害者に関する世界行動計画の中で、リハビリテーションを定義し、「リハビリテーションとは身体的・精神的、かつまた社会的に最も適した機能水準を可能とすることによって、各個人が自らの人生を変革していくための手段を提供していくことをめざし、かつ時間を限定したプログラムである。」とされました。

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