自立生活運動について
自立生活(Independent Living:IL)は、アメリカのカリフォルニア大学バークレー校で、1960年代に重度の全身性障害の学生らが他の学生と同等の学生生活の保障を求めた運動の中から生まれたと言われている。キャンパス内のバリアフリー化や障害学生への支援プログラムの開発などが進められた。彼等が卒業した後、1970年代には障害者自身が運営し、障害者か地域生活をするうえで必要な情報提供や介助サービスを提供する「自立生活センタ」を創設し、自立生活運動の拠点となったのであった。その後、1980年代から1990年代にかけて、この自立生活運動はアメリカのみならず、日本やヨーロッパにも大きな影響を与えることになった。
この障害者自身による障害者のための自立生活運動は、障害者福祉の考えを大きく転換させることになった。つまり、障害者福祉のあり方は、それまで障害者が障害のない者に限りなく近づくことを求める為に専門家が障害の「治療」をめざすという「医療モデル」に異を唱えた。そして、障害者自身が自立した社会生活をするために、地域社会のバリアフリー化を進め、介助に必要なサービスを利用し、自己決定をしていく「(自立)生活モデル」(または「社会モデル」とも言う)に変えていくべきであると考えられるようになってきたのである。この自立生活運動の中で、それまでは福祉や介護のサービスを利用しないことが「自立」だと言われてきたが、運動の中で、福祉や介護のサービスを利用して、自己決定によって自らの意思をもって主体的に生活をしていくことが「自立」であるという、新しい自立館が生まれた。
なお、日本で自立生活運動の拠点的機能を持つ施設として「自立生活センター」があり、障害者自身が運営を行い、その地域の障害者運動の拠点となると同時に、障害者の自立生活のための様々なサービスを提供している。全国自立生活センター協議会があり、そこに加盟している自立センターは全国で120箇所有る(2010年11月現在)。