障害者自立支援法について
障害者自立支援法により、それまでの施設・事業は平成24(2012)3月までに「新体系」に移行することになった。その目的は、①それまで身体、知的、精神障害と縦割りであったサービスの制度格差を解消し、障害の種別を問わず利用可能にすること、②施設で一日中生活する状態から、日中活動と居住のサービスを分離することにより、複数のサービスと組み合わせ「障害者の選択に基づく多様なライフスタイル」を可能にすること、③これまで不十分だった地域生活支援や就労支援など必要なサービスを創設すること、④国民にわかりやすいサービス名称に変更することである。つまり、障害種別ごとに分立した既存の施設や事業の体系を、大きく支援の機能に注目して、①日中活動系、②居住系(および③訪問系(または居宅系))に再編される。その結果、入所施設は、夜間や休日の支援と日中活動の支援を行う機能を分けて持つ。通所施設は、日中活動の支援を行うという具合である。具体的には以下の3つの系に整理されている。
(1)日中活動系には、①介護給付として医療機関で機能訓練、療養上の管理、看護、介護及び日常生活上の世話を行う「療養介護」、施設で入浴や排せつ、食事の介護や創作的活動の機会を提供する「生活介護」、②訓練等給付として、身体機能や生活機能向上のための訓練を行う「自立訓練」、一定期間、就労に必要な知識や能力の向上の為の訓練を行う「就労移行支援」、一般企業等での就労が困難な人に働く場を提供するとともに、知識及び能力向上のための訓練を行う「就労継続支援」、③地域生活支援事業として「地域活動支援センター」がある。これらは地域で自立した日常生活・社会生活を営めるよう、利用者が通い、創作的活動又は生産活動の機会の提供、社会との交流の促進、日常生活に必要な便宜の供与を行うものである。
(2)居住系には、①介護給付として「共同生活介護(ケアホーム)」、「施設入所支援」、②訓練等給付として、「共同生活援助(グループホーム)」がある。
(3)訪問系(居宅系)には、介護給付として、居宅介護(ホームヘルプ)、重度訪問介護、行動援護、児童デイサービス、短期入所(ショートステイ)、重度障害者等包括支援がある。
なお、新体系サービスへの移行率は、平成22(2010)年10月1日時点で56.5%である。新体系への移行を促進する為に、国による収入の保障等「移行支援策」がなされている。