第21回手話通訳技能認定試験(手話通訳士試験)読み取り通訳試験問題2009年(平成21年)
読み取り通訳試験問題(要約文)
第1問「外から見てわかりにくい障害」
私には兄がいます。兄は耳が聞こえます。小学部5年間時、夏休みに、高校2年の兄とプールに行ったときのことです。プールに行けることが嬉しくて、補聴器をつけるのを忘れて家を出てしまいました。まあいいやとそのまま、兄と私は、それぞれ自転車に乗っていきました。プールに行く途中には、けっこうきつい坂があって、私は登るのに必死でした。兄は自転車で私の前を走っていました。道の端に駐車している車があったので、それを避けて道の真ん中に私が寄ったときのことです。兄が突然振り返って手で合図してくれたとたんに、後ろから大きな車が来て、兄の自転車のそばに急ブレーキで止まり、その車を運転していた人が怖い顔で、何かどなっていました。あとで兄に聞いたら、車がクラクションを鳴らしたけど、私が気づかなかったのですね。兄は「この子は、耳が聞こえません。すみません。」と謝ったけど、その人は、「耳が悪いんなら、お前が後ろについて走れ。注意しろ。」とどなったそうです。
けれど、前でも後ろでも同じだと思うのです。
もしも、後ろから声をかけたり、自転車のベルや車のクラクションを鳴らしたりした時に振り返らない人がいたら、「耳が聞こえないのかもしれない。」と思って欲しいです。
第2問「仲間の励まし」
毎年4月に開催される「トライアスロン大会」に、今年も参加しました。コースは、スイム3キロ、バイク155キロ、ラン42.195キロで、朝8時にスタートし、制限時間14時間の過酷なレースです。場所は、エメラルドビーチ。1500名が一斉に泳ぎだします。
ぶつかり合い蹴飛ばし合いや潮の流れもあったので、予想以上に時間がかかってしまいました。バイクは自信があったのですが、上り坂で向かい風が強く、閉口しました。ランに入り、途中で腰の痛みがひどくなり、歩くこともあり、どんどん追い越され、あきらめんけました。その時、折り返しで戻ってきた聞こえない仲間たちの顔と「頑張れ~。ゴールで待っているよ。」と言われたことばに勇気づけられ、「わかった。頑張る。」と最後まであきらめずに走り続けました。
制限時間ぎりぎりでしたが、ふらふらとしながらもゴールできて、本当に嬉しく、涙があふれてきました。