第21回手話通訳技能認定試験(手話通訳士試験)聞き取り通訳試験問題2009年(平成21年)

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第21回手話通訳技能認定試験(手話通訳士試験)聞き取り通訳試験問題2009年(平成21年)

聞き取り通訳試験問題

第1問「病院の整形外科で」

山本さん、今日は退院ですね。サッカーの練習で右足を骨折して、救急車でこの病院にいらしたのですね。手術後のリハビリも大変だったと思いますが、よく頑張りましたね。
 毎日の訓練は予定時間を過ぎても続けていらしたそうで、PTも看護師たちも感心していましたよ。昨日レントゲン検査をしましたが、その結果、骨は完全に治ってますので、安心して退院してください。
 今日はご家族の方がみえられますね。ご家族も安心なさるでしょう。家での生活も心配ないので普通に生活していただいて結構です。ただ、サッカーの練習は慎重に始めてください。
 体力には自信をお持ちのようですが、入院生活で筋力も落ちていますし、まず日常生活に慣れてください。仕事もそうですが、通勤にも体力が必要です。睡眠時間をしっかりとって、無理しないようにしてくださいね。
 では、次は2週間後くらいにいらして診せてください。通院の手続きについては看護師に聞いてください。ではお大事に。

第2問「寄宿舎」

 私の同僚に聴覚障害者がいる。彼は、小さい頃、耳が聞こえなくても近所の子供たちと普通に遊んでいたが、6歳になると彼だけが遠くにあるろう学校に入ることになったそうだ。
 何もわからないまま母親にろう学校へ連れていかれて、寄宿舎に荷物を運ぶと、母親がいなくなってしまい、寂しくて泣いたことを覚えているという。
 寄宿舎で先輩たちは手話で話していて、彼は最初何もわからなかったそうだが、すぐに手話を覚えて楽しい生活になったという。トレイに幽霊が出るなどと先輩に脅されたり、同級生と一緒にいたずらをしたり、消灯後に後輩を引き連れて抜け出したりと、いろいろあったようだ。
 でも、寮母や先輩から学び、後輩の面倒を見て、社会生活のルールを身に付けられたのは、親元から離れて寄宿舎で学んだ良い面だったという。
 彼は今私と同じ会社で仕事をしているが、健聴者ばかりで手話が通じなくても、筆談をしたり、みんなに簡単な手話を教えたりと、前向きな姿勢に頭が下がる。それも寄宿舎での集団生活で鍛えられた彼のバイタリティなのだろうと思う。

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