第22回手話通訳技能認定試験(手話通訳士試験)読み取り通訳試験2010年(平成22年)
読み取り通訳試験問題(要約文)
第1問「ろう協会長の福祉課長への要望」
課長さんはデフリンピックを知っていらっしゃいますか。パラリンピックとは別のもので、ろう者のオリンピックと言われています。
パラリンピックより古い歴史があり、最初の大会は1924年にパリで開催されています。
ついこの間の台北デフリンピックには選手と役員を合わせて245名の選手団が行って、陸上、卓球、バレーボール、水泳、柔道、空手、テニス、ボウリングで、金5銀6銅9の合計20個のメダルを獲得しています。
しかし、デフリンピックの知名度はまだまだ低いのです。平成18年に内閣府が調査した結果では、国民の94.1%が「パラリンピックを知っている」と答えたそうですが、「デフリンピックを知っている」と答えたのは、わずか、2.8%だったそうです。
それで、デフリンピックのことをもっと多くの市民に知ってもらうために、市の広報紙で紹介していただきたいのです。課長さん、ご検討をお願いします。
第2問「落語に学ぶ」(要約文)
先日、私はも手話のわかる聞こえる友人と一緒に公民館のワークショップに参加しました。講師は、プロの落語家で、内容は、言葉やしぐさでお客さんを物語に引き込んでいく落語のテクニックについてでした。
例えば、体の向きと視線を左右に振り分けて、二人の会話を再現する技術があります。
「ああ、100円ある?」
「100円なら、貸してあげましょう。」
「ありがとうございます。100円もらって貯金が一億円になりましたあ。」
こんなちょっとした話でも落語の演者はお客さんを盛り上げることができるのです。
落語の基本はしぐさです。蕎麦(そば)をすするしぐさでは、扇子を箸に見立てて、同時に、手の形でどんぶりの大きさを表現し、蕎麦の熱さは、フーフーと息を吹きかけるしぐさで表します。このようにひとつひとつのしぐさを丁寧に頭の中で考えて表現すると、お客さんに伝わるそうです。
私は地域で手話講座の講師を担当していますが、受講者たちは日本語につられての表現しかできません。ろう者の使う手話表現をどのように指導すればいいのか、行き詰っていたところでした。
恥ずかしがらないで、大きな身振りで表現することが重要だとワークショップで知ったので、それを自分なりに咀嚼(そしゃく)して、手話講座で指導していこうと思いました。