第23回手話通訳技能認定試験(手話通訳士試験)読み取り通訳試験2011年(平成23年)
読み取り通訳試験問題(要約文)
第1問「娘についての相談」(要約文)
5月に入った頃からだと思うのですが、娘が、学校に行きたくないと言い始めて、困っています。理由を聞いても、話してくれません。学校で、何かあったのでしょうか。ご存じのことがあれば教えてくださいませんか。
家では、娘は、いつも、家事を手伝ってくれます。地域の手話サークルクローバーには、欠かさず参加し、皆さんと楽しく交流しています。この夏のサークル主催のキャンプでは、とても楽しそうにしていました。
家にあそびに来る私の友人とのおしゃべりにも、自分から入ってきて楽しんでいますし、いつも、夜の7時のテレビニュースを通訳してくれるので、主人も私も助かっています。本当に良い子です。
けれど、毎朝、学校に行く時間になっても、なかなか制服に着替えようとしないのです。
私は、学校でいじめにあっているのではないか、親が聞こえないということでからかわれたりしているのではないか、このままでは、不登校になるのではないかと心配でなりません。先生、小さなことでもかまいませんから、ご存じのことを教えていただけないでしょうか。
第2問「病院の緊急時対応」(要約文)
耳が聞こえる皆さんは、体の具合が悪くなったら、いつでも近所の病院で受診できますが、私たち、ろう者は、手話通訳派遣事務所に依頼して通訳者を確保しないと受診できないのです。しかも、派遣の依頼は「原則、1週間前までに」としているところもあり、いつでもすぐに受診できる状況にはなっていません。
こうした状況に対処するために、緊急時に限り、登録通訳者個人に直接依頼してもよいとする派遣事務所もありますし、緊急時、消防署にFAX送信すると、救急車と手話通訳者の手配をしてくれるといった地域も徐々に増えているようです。
もうずいぶん昔の話になりますが、私の知り合いで、ろう協の役員をしているご夫婦が実際に体験したことなのですが、夜中の3時頃に、ご主人が苦しみだし、七転八倒。奥さんは、近所の手話通訳者の自宅に助けを求めに行こうとしましたが、夜中の3時ということで躊躇(ちゅうちょ)し、結局、苦しむご主人を介抱しながら夜が明けるのを待って、駆けこんだのだそうです。ただちに救急車が手配され病院に急送されて無事だったのですが…。
こうしたことから、私たちは、全ての病院に手話通訳者を配置し、あわせて、だれもが緊急時に安心して受診できる体制をつくってほしいと訴えているのです。