障害者手帳等

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日本では、障害者福祉サービスや税の障害者控除や公共交通機関の割引等その他の障害者向けのサービスを利用するには、障害の判定を受けて、公式に障害者であると示した障害者の手帳を取得することが条件とされている。日本の障害の区分は大きく、身体障害、知的障害、精神障害とあるが、これらに合わせて手帳が発行されている。

まず、「身体障害者手帳」は、身体障害者福祉法に規定されており、同法の別表には身体障害の程度を示す6つの「等級」があり、1、2級が重度、3、4級が中度、5、6級が軽度の障害とされている。より具体的に等級を示した「身体障害者福祉法施行令第36条」では、肢体不自由のみ7級が示されているが、7級だけでは手帳は発行されず、他の障害と重複して6急になった場合に手帳が発行される。なお、障害等級は医師の診断に基づいて、都道府県に設置されている身体障害者更生相談所が等級判定を行い、都道府県から紹介者手帳を発行する。

 次に「療育手帳」は、知的障害者に対して発行される手帳であるが、知的障害者福祉法には手帳に関する規定はなく、厚労省の通知により各都道府県の独自施策として発行されている。そのため、手帳の名称は都道府県により違うところもあり、例えば東京都は
愛の手帳」、埼玉県は「みどりの手帳」となつている。なお、障害の判定は18歳未満は児童相談所、18歳以上は知的障害者更生相談所が行い、都道府県から手帳を発行する。

そして、「精神障害者保健福祉手帳」はも精神保健福祉法第45条に規定されており、都道府県から精神障害者に対して発行される手帳である。精神障害者の等級については、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行令」で1級から3級までの3つの等級で記されている。なお、精神障害者に対する社会的な差別意識が強いため、精神障害者の手帳の表紙には「障害者手帳」とだけ記されており、精神障害者とすぐにわからないように配慮されている。ここでいう都道府県には、地方分権でと胴部県の権限が委譲されているため、政令指定都市(大阪市や札幌市等の大都市)が含まれることには注意すること。

「障害者基本法」第2条において、「障害者とは、身体障害、知的障害又は精神障害があるため、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受けるもの者」と規定されている。このように、日本において「障害者」は身体障害者、知的障害者、精神障害者である。

「身体障害者」については、身体障害者福祉法第4条において定義されている。「この法律において、『身体障害者』とは、別表に掲げる身体上の障害がある18歳以上の者であって、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けたものをいう」と規定されている。

身体障害は障害の程度に応じ、重度から軽度へ1級から7級まで細かに規定されており、その詳細は身体障害者福祉法施行規則別表第5号「身体障害者障害程度等級表」に掲載されている。7級については、そこに該当する障害1つだけでは身体障害者に認定されない。

身体障害の定義・範囲については、年金制度や労災制度においても所得保障や労災補償の観点からそれぞれ定められているが、身体障害者福祉法による定義・範囲は、障害者の雇用の促進に関する法律や税の減免制度等において広く準用されている。

「身体障害者手帳」は「身体障害者福祉法」の第15条に規定されており、根拠条文は「障害者基本法」ではないことに注意すること。身体障害は障害の程度に応じ、重度から軽度へ1級から7級まで細かに規定されており、その詳細は身体障害者福祉法施行規則別表第5号「身体障害者障害程度等級表」に掲載されている。

身体障害者手帳の申請は、指定医師による診断書、意見書を添えて市町村(福祉事務所長)を経由して都道府県知事に申請する。手帳には、障害名・障害の程度等級等が記載され、各種福祉サービスの利用、その他の優遇措置(税金の免除、運賃割引制度)等に使用する際の証票となっている。

18歳以下の身体障害児についても、身体障害者福祉法によって「身体障害者手帳」が交付されている。しかし「身体障害児手帳」とは言わない。身体障害者手帳を交付された身体障害児に対する療育指導や補装具の交付などの福祉の措置は、児童福祉法によって行われている。

「知的障害者」については、厚生事務次官通知「療育手帳制度について」があり、療育手帳は知的障害のある人に対して一貫した指導・相談を行うとともに、各種の援助を受けやすくすることを目的に交付されている。療育手帳の交付を受けられる者は、児童相談所または知的障害者更生相談所において知的障害者と判定された者である。障害の程度は、判定区分に応じて、重度の場合は「A」、その他の場合は「B」と療育手帳に表示される。

交付申請は、「療育手帳交付申請書」に写真を添付し、市町村(福祉事務所長)を経由して都道府県知事に提出する。療育手帳を交付された者は、各種福祉サービスを利用できるほか、その他の優遇措置(税金の控除・免除、公営住宅への優先入居、運賃の割引など)を活用する際に証票として提示する。

ただし、東京都においては「愛の手帳」と言い、障害の程度は4つに区分されている。このように知的障害者の療育手帳は、都道府県によって運用が異なることがある。

「精神障害者」については「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(略称、精神保健福祉法)」(平成7年改正)の第5条において、「精神障害者とは、統合失調症(精神分裂症)、精神作用物質による急性中毒またはその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者をいう」と規定されている。

精神障害者保健福祉手帳の創設は1995(平成7)年に制定された「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」(精神保健福祉法)において規定されたものである。精神障害者(統合失調症、躁鬱病、非定型精神病、てんかん、中毒性精神病、器質精神病等)のうち、日常生活または社会生活をする際に制約のある者に対して、精神障害者保健福祉手帳が交付される。手帳の表紙は「障害者手帳」と記載されている。

交付申請は、「障害者手帳申請書」に医師の診断書または障害年金の写しを添付し、保険所長を経由して都道府県知事に提出する。障害者手帳を交付された者は、通院医療費交付負担申請手続きの簡略化、精神障害者社会復帰施設等の利用、その他の優遇措置(税金の控除・免除、生活保護の障害者加算など)のために活用できる。

精神障害者保健福祉手帳の等級は1級から3級の区分を設けている。身体障害者手帳や療育手帳(知的障害児・者)とは違い、精神障害者保健福祉手帳の有効期限は2年間とされている。

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