障害者の権利擁護について
平成12(2000)年の介護保険法施行に伴い、それまで行政決定を伴う措置制度から、利用者と事業者の利用契約制度に変更になった。そこでは事業者との契約の取り交わしや利用料の支払いが利用者に求められるようになった。そのため、知的障害や精神障害、人帳のある人がどう契約書を取り交わすかが問題になつた。そこで介護保険制度と同時に導入されたのが、「成年後見制度」と「日常生活自立支援事業」である。
成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な人に対して、その判断能力に応じて、家庭裁判所により「後見人」「保佐人」「補助人」が選ばれ、本人の利益を考えて、契約などの法律行為等をして、本人を保護・支援する制度である。なお、障害者自立支援法の地域生活支援事業には市町村事業として、「成年後見制度利用支援事業」が設けられており、成年後見制度の申立に要する経費(登記手数料、鑑定費用等)及び後見人等の報酬の全部又は一部を助成する仕組みがある。
また、日常生活自立支援事業については、平成12(2000)年の社会福祉法第2条に「福祉サービス利用援助事業」が規定され、精神上の理由により日常生活を営むのに支障がある者に対して、福祉サービスの利用について相談・助言、必要な手続・費用の支払等の援助を一体的に行う事業が位置づけられた。実際には、平成18(2006)年度までは「地域福祉権利擁護事業」、平成19(2007)年度からは日常生活自立支援事業として、都道府県及び指定都市社会福祉協議会により実施されている。具体的な援助については、都道府県社会福祉協議会等にいる「専門員」が相談や利用契約を支援し、実際に訪問し、支援する研修を受けた「生活支援員」である。
なお、「認知症対策普及・相談・支援事業」は、都道府県で認知症の相談ができるコールセンターを設置する事業である。